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「学校図書館学研究」
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平成25年度日本学校図書館学会 学校図書館フォーラム

平成25年度日本学校図書館学会 学校図書館フォーラム

会長挨拶 日本学校図書館学会会長 村 越 正 則

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 大変な大雪になりましたが、本当にようこそおいでいただきました。今朝の8時半の時点で開催を決定いたしました。これからの学校教育の充実を図るために、学校図書館はどうあればよいかということで教師のシンポジウムだけでは課題の解決は難しいということで、こういう形で計画をいたしました。後半には皆様のご意見も伺いながら進めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。


基調講演「学校図書館の充実に向けた文部科学省の取組」 

文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 内藤敏也様

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 講演要旨
 学校図書館担当職員の役割及びその資質の向上に関する調査研究協力者会議で論議された『これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策等について』をもとに次の点について講演された。

  1. 学校図書館担当職員いわゆる「学校司書」の配置に関する経費が地方財政措置に盛り込まれたこと。
  2. 学校図書館の利活用の意義について論議されたこと。
  3. 学校図書館担当職員の職務を整理したこと。
    一つは、児童生徒や教員に対する間接的な支援に関する職務(例:図書館資料の管理、施設設備の整備等)
    二つめは、児童生徒や教員に対する直接的な支援に関する職務(例:貸出業務、レファレンス等)
    三つ目は、教育目標を達成するための教育指導への支援に関する職務(例:学習に必要な図書の紹介等)
  4. そうした庶務を遂行するための資格能力・専門性をどう整備していくか。
  5. こうした学校図書館の利活用を円滑に進めるためには、校長のリーダーシップが必要であること。文部科学省の児童

 講演内容
 生徒課長の内藤でございます。
 大変な大雪で、私もぐるっと回ってここまでたどり着きました。皆様も同じご苦労をされたと思うと親近感を覚えます。
 これから文部科学省が学校図書館についてどのような取組をしているかお話しますが、どのようなお話にするかと考えたとき、昨年の銭谷眞美元次官の話と重ならないようにするには、最新のトピックスが一番良いだろうと考え、文部科学省が進めている学校図書館に関する最近の動きを紹介します。本日の資料は、『これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策等について(報告)(案)』(註1) です。これは今、動いている協力者会議で検討した資料でして、この2月2日に最終回の会議を開いた時の資料です。これをいくつか修正して3月末までに報告書にまとめて各都道府県を通じて全国に配るものです。

 その前に、お話をしておきます。私は文部科学省で児童生徒課長というご紹介をうけましたが、学校図書館の所管は、以前は小学校課の仕事だったのですが、省庁再編に伴い機能別に再編され児童生徒課が、教育課程そのものではないけれども、教育課程の内外を通じてやらなければならないもの、生徒指導、キャリア教育、人権教育、学校図書館を担当しています。学校図書館についても、教育課程の内外でやっているという所があります。これまでは、授業の外で行われていたことが多かったようです。休み時間に読書をすることや朝読書はまさに教育課程の外でやっていましたのがこの学校図書館との関わりであります。
 その他に、私のもう一つの担当は文部科学省が進めている教育条件整備になりますが、別のトピックスになりますので、これは講演のあとのシンポジウムの中で私の担当としてお話します。

 学校図書館担当職員について、これまでの地方財政措置では学校図書館図書標準整備5か年計画として図書の整備を中心にやってきましたが、24年度以降、学校図書館担当職員の配置に関する経費についても地方財政措置が認められました。学校図書館担当職員いわゆる学校司書の方が現場で置かれていることを考慮して、財務省の方で、毎年150億円の地方財政措置がつきました。

 ただ、学校図書館担当職員が配置されていますが、実は配置の状況のばらつきがあります。職務の内容も相当ばらつきがあります。司書教諭については学校図書館法で位置付けられ、司書教諭講習もありますので、国の法律の制度を背景にしたものがありますが、学校図書館担当職員についてはそういうものがないので、ここで一度整備をする必要があるということで、この夏に文部科学省の方で協力者会議を設けました。そこで議論を重ねていたというわけです。未だ現在進行中のことなので、まとめみたいな資料がないので、その資料を用意したというわけです。その中でトピックス的に私が重要だと思っていることをいくつかお話いたします。

 一つは、学校図書館担当職員の職務と資質能力について考えると共に、学校図書館の利活用意義を改めて整理してみました。これは今回の学会の議論をいただくのに役立つお話になるのかなと思っています。この資料の4ページ、5ページです。学校図書館の利活用の意義です。学習指導要領から定義しています。学習指導要領では「生きる力」を育むことを理念としていること、「確かな学力」を求めています。今の学習指導要領のキーワードの一つとして言語活動が各教科を通じて充実することが謳われています。言語活動の充実を支えるためにも学校図書館の充実が求められているということで、24年度の地方財政措置の理由には学習指導要領の改訂があって、言語活動の充実を支えるためにも、学校図書館が重要なことであるということで、認めていただいたところです。そこをさらに深く掘り下げて書いているところです。
 4ページの下をご覧ください。一つは言語活動の充実を図るために、総合的な学習のところで、探究的な学習があります。そこでは、?課題を設定し、?情報を収集し、?整理・分析をし、?まとめ・表現をするというようなことが示されています。こうした一連の学習活動を行う時に、いわゆる調べ学習をする中で、学校図書館を使うのは非常に有効である。今回の協力者会議でも、こういう実践をやっている司書教諭または学校司書、学校の管理職の方にも集まっていただき、議論していただきましたが、学校図書館の活用が非常に有効であるとされました。
 学校図書館を活用した授業というのが一つ、新しい学習指導要領の趣旨に基づいた教育を進める上で有効であるとされました。それと共にやはり日々の読書活動は、確かな学力もそうですし、生きる力の育成を進める上でも豊かな心を育てるという意味でも学校図書館の利活用の意義ということを今の学習指導要領の求める内容を踏まえて議論している所であります。

 学校図書館を活用した授業を踏み込んで整理してみました。我々にとしては、整理してみたのですが、現場の先生にとっては分かりにくいということで、6ページに図を作ったのですが、この図についてはいろいろ議論がありまして、この図は相当差し替える予定です。一つの問題は、言語活動という文言がこの図の中に入っていないというのが大きな理由の一つです。改めて見ていただきたいと思います。
言語活動と学習活動は別々なものではないのですが、読書活動も言語活動に関係してくるのですが、これを整理するとものすごい図になるので、仕上がりは少し悩みながら作っております。以上、学校図書館の利活用の意義について改めて整理してみました。

 その上で、13ページ以下をご覧ください。学校図書館担当職員に求められる職務を整理してみました。ここで整理をしていくと学校図書館に関する相当な部分をここで書くことになりました。協力者会議では非常に議論があったところで、多くの学校図書館で上手く機能している学校では、学校図書館担当職員がおられますが、学校図書館担当職員(学校司書)と司書教諭の役割分担を書こうとしましたが、各学校ごと各地域ごとに相当違っているようです。学校図書館担当職員の資質能う力がこの部分の趣旨なので、職務の分担が求められることになります。

 では、どういう仕事をするのかと言うことで、大きく三つに分けて整理してみました。
 一つは児童生徒や教員に対する間接的な支援に関する職務です。間接的な支援の仕事は、図書館資料の管理や施設設備の整備、学校図書館の運営といったことです。
 2番目には、児童生徒や教員に対する直接的な支援に関する職務ということで、いわゆる図書の貸し出し業務等に関わるようなことが考えられます。ガイダンス、レファレンスサービス、読書推進活動、ブックトーク、直接的な支援 貸出業務など。
 3番目は、強調したいことですが、教育目標を達成するための教育指導への支援に関する職務です。新しい学習指導要領の求める言語活動の充実、言語活動の充実ではPISA調査でも分かる通り、読書が好きか嫌いかというと、日本の子どもは圧倒的に多くの子どもが、読書が好きかという設問では相当下位になっています。そのために学校の図書館としての学校図書館が、学校教育の中で貢献する必要があると考えれば、条件整備をより一層訴えるためにもそうした実践を踏まえて、授業のねらいに沿った資料の紹介、整備、司書教諭や教員とそのための打ち合わせを行う。実際に学校図書館を活用した授業をする時に、調べ学習をする時に本を紹介してもらって、その資料を使って調べ学習をする、調べ方の分からない子に実際にあたって指導を行う。あるいは学校行事に関連するようなことをこの職務の中に入れて行きたいと考えています。

 19ページ以降にどういう能力が学校図書館担当職員に必要なのか、これも実際に調べてみました。誰でもいいというのなら、学校司書が父兄のボランティアでもいいかも知れないのですが、一定の能力を備えた職員が一緒に仕事を進めるのなら良い。学校図書館の管理運営と間接的な支援であったり、直接的な支援であったり、図書に関する専門性と言ったものが必要であります。いわゆる司書の資格を持っている方はそれでよい。ただ、それで十分なのだと言う方もいらっしゃいますが、やはり、学校図書館なので、一定の専門性を備えていなければならない。それが19ページの赤丸で示しているところです。児童生徒の発達段階や学習指導要領に基づく学習内容に応じて図書館の活用や役割に応じた能力が必要なのだということで整理をしてその資質能力を身に付ける研修などをここで整理をしたところです。

 三つ目ですが、10ページに戻るのですが、今までとちょっと書き方を改めた部分があります。従来学校図書館が読書センターと学習情報センターという言い方をしていたのですが、学習センターと情報センターと言うのは、それぞれ違う機能なのです。二つにやりにくいねということで、今回学習センターと情報センターというのを敢えて分けてみました。学習指導要領から、学校図書館を活用した授業の中で、学校図書館を使った情報活用能力と言うのが重要なのではないかと、情報活用能力の育成ということで、情報センターを学習センターとは別にしてみようと、学校図書館担当職員に求められているのだということで仕切ってみました。
 最後に、7ページです。私があちこちでこれを説明していく上で強調していきたい話なのです。丸四つめに「校長は、学校教育における学校図書館の積極的な利活用に関して学校経営方針、計画に盛り込み、その方針を教職員に明示することや学校図書館の運営・活用・評価に関してリーダーシップを強く発揮することが期待される」というふうに書きました。
 この他、8ページ一番下のところ、「学校図書館に関する校内組織としては、…校長はその組織や構成員の役割を明確化し、校務分掌に位置付けることが求められる」としました。教育課程の中で学校図書館を利活用するということについては、熱心な先生は使うかもしれないが、そうでない先生もいる中で、校長先生がある程度リーダーシップを出さないとやはり学校図書館は上手くいかない。上手くいっている例を見るとやはり、校長先生がリーダーシップを上手に発揮している。
 いくらいい学校司書や司書教諭さんがいたり、しゃかりきになってやったところで、校長の理解が全くないところでは十分な能力を発揮できないでいる状況があります。そうした中で単なる司書教諭と学校司書、あるいは司書教諭を中心として図書館委員会の先生方だけの問題にならないように工夫していただくことが学校図書館の利活用の意義として、様々な能力の育成であったり、学習指導要領に基づく教育活動のために学校図書館を使うということを実現していくためにも、非常に重要なことだと思っております。
 他にもいろいろ書いてあるのですが、30分の時間の中で、特に先生方に認識していただきたいということはこのように考えてございます。
≪註1≫『これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策等について(報告)は3月末日に(案)がとれて正式な文書になっています。

シンポジウム
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シンポジスト
左から2人目 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 内藤敏也 氏
    3人目 全国連合小学校長会会長・新宿区立早稲田小学校長 堀竹 充 氏 
    4人目 横浜創英大学・本会名誉会長    高岡浩二
    5人目 昭和女子大学大学院・本会副会長 小川哲男  
いちばん左  コーディネータ 白梅学園大学・本会会長 村越正則

堀竹 充氏
 学校図書館の役割
  ・言語への関心を育てる
  ・言語表現への関心、言語活動への関心を育てる
  ・知識を習得への関心を育てる
  ・豊かな知識に触れる喜びを味わわせる
  ・言語情報の価値に気付かせる
  ・「生きる力」の基礎をはぐくむ
  ・情報センターとしての価値に気付かせる
 学校図書館の現実の課題
  ・教師の明確な意図をもった指導が不足
  ・調べる活動での情報端末の活用に偏った指導
  ・読書指導の体系的なカリキュラムが不十分
  ・言語力の育成と十分結びつかない整備計画
  ・図書館活用について、専門性の高い教員の不足
  ・方法論に偏った教員の研修

高岡浩二氏
 学校の教育課程の展開に寄与する学校図書館の在り方と条件整備

  1. 学校図書館の現状と課題
    学習指導の質を高める観点から見直し、学校図書館の活用を教育課程編成方針の中に位置づけ、指導計画の中で具体化を図る必要がある。また、それが実現できるような学校経営方針の中に位置づけ、それを実施できる態勢を整備する必要がある。
  2. 戦後の教育課程の変遷と学校図書館の役割
    学校図書館法が制定された後、教育課程行政は昭和33年の改訂以後系統学習重視に転換したことによって教科書中心の授業が行われるようになり、学校図書館を活用した学習が行われなくなり、学校図書館活用の意識も低くなってしまった。
  3. 「生きる力」の育成と学校図書館の役割
    生きる力とは、基礎基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ他人と共に協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などと定義されている。
    こうした力を育成するためには、自ら課題を見つけそれを探究する学習活動が重視されることになる。学校図書館にこうした学習の展開を支える重要な役割を求められている。問題は自ら課題を見つける学習には、思考体系を作ることである。これは構成主義と呼ばれている。
  4. 教育課程の基準性と学校図書館の条件整備
    国は、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために、教育課程の全国的な基準を学習指導要領として定めている。そのためには、国は学校に対して教育課程の実施に義務を課しているのでこれらの人的、物的 な条件整備を進めなければならない立場に立つことになるのではないかと考えられる。
  5. これからの学校図書館の在り方と条件整備
    学校図書館を学習指導に活用することが不可欠になると、その運営は様変わりすることになるのではないかと考えられる。理科の学習が理科室で行われるように、探究学習は学校図書館を活用した学習活動が求められる。各学校での学校図書館の整備が求められる。学会としては学校図書館の理想形の実現を目指して学校の取組を促進するための理論的な裏付けを明らかにし、学校や教職員に対して積極的に情報提供をする必要がある。

小川哲男氏
 専門は理科教育。授業論と研究論の立場から申し上げたい。学校図書館はどの教科・領域でも使えることが大切。
 本日は、学校図書館を使った授業論と研究論の立場から申し上げる。

  1. 学校図書館活用についての使命
  2. 使命に基づいてどういう研究実践があるのか
  3. これからどうしたらよいのか

 この学会の創立者、熱海則夫先生は、「学校が変わる、授業が変わる、必然的に学校図書館も変わる」と言った。
 具体的には、学校図書館学の構築、学校図書館学の実践に役立つ理論を作る、共同研究が大切、子どもの側に立つ研究者の育成とを育てると言われた。
 また、初代会長の室伏武先生は、科学としての学校図書館学を作りたいと言っている。それは誰でも出来るようにするのだということである。
 学習の展開に役立つ理論と実践を作ること、授業の改善

  1. 教育課程の展開に役立つ理論の構築、理論と実践をどうつなぐか
  2. 授業を変えなければ学校図書館の改善をしても意味がない。逆も成り立つ。
  3. 学校図書館学は空理空論であってはならない。

 学習のねらいが達成されるための学校図書館の価値はどうなのかという視点が必要。
 子どもが学習するのだから、子どもの側に立って、子どもが自ら学ぶ道筋を作っていくことが必要。構成主義の教育とは、子どもが自ら知識を構成することである。

内藤敏也氏
 条件整備について取り組んでいること。地方交付税として、24年度から5年間で図書標準の費用として1000億円の予算を組んだ。また、新たに新聞の配備費用として、単年度15億円、5か年で150億円、さらに学校司書(学校図書館担当職員)の配置のための予算を毎年度約150億円の予算を考えている。ただ、地方交付税なので、各市町村で予算措置されないといけないので、このパンフレットを作った。各市町村で効果が上がればさらに考えて行きたい。そのための理解を期待している。
 司書教諭の配置状況については学校図書館法の改正により、11学級以下を除き学校に配置することになったが、地方交付税を受けて配置率が上っている。しかし、配置は6割程度となっている。

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