平成26年度日本学校図書館学会講演

演 題 「子どもの読書・学習活動を支える学校図書館の協力体制づくり」
文部科学省「学校図書館担当職員の役割・職務等に関する報告」を中心に

講 師 昭和女子大学人間社会学部特任教授  大 串 夏 身 先生
日 時 平成26年5月24日(土)
  
 只今ご紹介いただきました大串でございます。よろしくお願いいたします。


■はじめに
 今年の3月に文部科学省が「これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及び資質能力の向上方策等について」の報告をまとめて発表いたしました。
 今日お話するのは、私もこの協力者会議に参加したこともありまして、一つは今後の学校図書館の体制は、いわゆる学校司書を配置して、今もう、半分ぐらいの学校は配置しています。その学校司書に、今まで以上の役割を果たしてもらうことを志向しながら、今まで以上に学校図書館の充実を図りたいという文部科学省のねらいです。学校司書の入った今後の学校図書館の体制をどうしたらよいのかといことと、もう一つは学校司書が入った今後のことです。


■報告書のねらい
 これは大きく分けると3点あります。一つは学校司書の職務内容を明らかにすること、今後学校司書を専門職として各学校に配置するということ、今回の報告書はこういう流れの中で必然性のようなことを話したい。二つめは今回の報告書の内容と特に学校司書と学校司書を組み込んだ形での学校図書館の協力体制の在り方、三つ目はまとめとして今後のことについて少しお話します。
 今回の報告書は、専門職としての学校司書という表現はしていません。これはどうしてかというと、文部科学省としては、様々な呼称があるものを、学校司書という公的な資格に直結するような表現は避けたいということでございます。今はどうなっているかと言いますと、6月の国会で議員連盟を中心に各党統一して協力して提案をいたしまして、そこで可決するというような流れで動いているようでございます。それが可決された時には、公的な資格としての学校司書についての制度的なシステムを整える。それから、重要なことですが、養成カリキュラムを実際にどういう形で作るのか、また具体的にどういう形で養成するかという形で今進んでいるようでございます。
 そういうことに携わっている肥田さんにお会いしましたら、肥田さんは、「大串先生、国会で可決したらどうしたらいいのですか」と聞いてきました。僕に聞くことではないのではないとは思いながら、それは今までの例ですと、可決されれば、文部科学省内の法規委員会が原案を作って、有識者を交えて進めることになります。そして実際に法改正等を行って行政審議会で審議するという形になっていくというお話をいただきました。


■協力者会議設置の趣旨
 今日はそこまではいきませんで、今回の報告とそれぞれの内容をお示ししたいと思います。実は2月15日、この大学の別館で、文部科学省の内藤児童生徒課長をお招きして、私どもの学会でご報告いただいて情報をいただきました。この時、内藤課長が配布された資料は、第7回の協力者会議に提出した「たたき台」に使われた資料をそのままお出しになった。これは異例のことで、これは私どもの学会に対する信頼ということと期待されることが大きいのだなと思いました。
 まず協力者会議の設置の趣旨でございます。これは児童生徒課の春山課長補佐さんが次の3点を示されました。一点目は、学校図書館担当職員の役割と業務内容(職務内容)を明らかにしていただきたいこと。二点目は、学校図書館担当職員の質の向上を図るための方策について明らかにしてほしいこと。三点目は、学校図書館担当職員は法的な根拠を持っていない。したがって今回の報告書でその役割(職務内容)について、一定の関係者(国民)の共通理解のベースを作ることに資するような内容の報告書を作りたいということでございました。その裏には、今度の6月に国会で学校図書館法の改正を行い、学校司書という用語を入れた条文の学校図書館法を作りたいということでした。そこでこの法律の趣旨を関係議員さんに説明をしますと質問が出る、学校司書はどんな仕事をするのかという質問が出ます。それに対して今回の報告書をベースにしながら、説明ができるようにしたいということでございました。
 実は私が協力者会議に呼ばれまして、会議には十数人おりましたが、学識経験者としては私と筑波大の平久江先生と青山学院の堀川先生が呼ばれ、堀川先生が座長になりました。それ以外には、現場で実際に学校図書館で仕事をされている方、司書教諭の方々と校長先生、教育委員会の方がおりましたが、学識経験者としての専門職として反映させたい。私の場合は公共図書館で司書を20年間やりましたので、そうした経験を反映させたりして、特に私に言われたことは、専門職としての学校司書と公共図書館の司書の違い、それぞれの仕事の条件を考えてもらいたいということでもございました。
 この会議には他にも現場で働いている方々はいろいろな方々が呼ばれました。つまり正規の方々や嘱託の方々と、小学校中学校等々学校などそれぞれの方々が呼ばれておりました。結局文部科学省としては実態を把握しておきたいということだったと思います。


■調査研究にいたる経過
 次に調査にいたる経過ということについてお話を進めたいと思います。一つは図書館をめぐる国際的な動向についてですが、これは1980年代に人間の成長に関する医学的・心理学的な知見がいろいろ明らかになったことです。ここでは0歳児から3歳児までは人間の成長にとって非常に重要な時期があると言われ、できるだけ親の手で育てたいということでございます。行政的に見ますとヨーロッパ辺りでは、育児休業が盛んです。それからパリでは、できるだけ家庭の環境に近いもので育てたいということで、集団保育ではなくて、日本でやっているような保育ママさん、今までソ連という国がありましたが、集団保育をやめる方向で進んでいました。読書の利用についてはそういったことの反映で、1992年にイギリスのブックスタートが始まりますけれども、親が子どもに文字は分からなくても、本を読み聞かせる。それで、コミュニケーションをとること、こういうことが人間の成長の基礎形成に役に立つという考え方が明らかになってきました。
 こういった考え方は、文化審議会が平成16年に、「これからの時代に求められる国語力」と言う方針を出されましたが、この中で、0歳児から3歳児では、非常に脳の発達には心理学的な見地から見て人間にとって非常に重要な時期であるとされています。それから4歳から12・3歳までは、脳の成長という点から見ますと知識を直線的に求める時代です。12・3歳から18歳は、知識と共に論理的な思考を求めます。だからそれぞれの時期にふさわしい読書を行う環境を整えていくことが求められています。例えば理科の先生は理科について子どもたちに理科の面白さを語ってほしいですね。
 特に小学校の高学年ではいろいろな知識を欲しがる時です。1990年代ではコンピュータ情報ネットワークの基盤が整備された時代でして、情報が満ちあふれる社会がきました。そういった社会の中で生きる人々の育成、ここではそれが重要ということで、教育改革ということが考えられています。


■学校図書館をめぐる様々な働きかけ
 それから2000年代に入りますと、教育の現場では教育の情報化の進展、特に情報リテラシー、内容の豊富さが考えられています。国内的にはどうかといいますと、1995年に国際子ども図書館設立推進議員連盟というものが結成されます。これ以降、もっぱら読書の振興については、議員連盟の方々を中心として進められることになります。2000年には国際子ども図書館が開館いたしまして、この年に子ども読書年をしました。この読書年を梃子にいたしまして2001年に子どもの読書活動の推進にかかわる基本計画ができました。この辺のことは皆様方ご存知のことと思います。それから2008年に学習指導要領の改訂があり、特に言語活動の充実などが取り上げられています。
 もう一つ議員連盟の動きとしては、2005年、文字・活字文化新興法を作りました。この時、実は学校図書館については、全ての学校または学校図書館には司書教諭を必ず置くことが求められました。ですから11学級のような小さな学校にも司書教諭を必ず置く、それから学校司書の配置を行う、こういう原案が作成されたようでございます。それから公共図書館の方にも全ての市町村に図書館を必ず置く、司書を必ずそれぞれの図書館に置く、こういう内容で提案されました。これには、当時の地方六団体から規制緩和の時代にどうして規制を強化するような法案を作るのだということで、かなり激しく抵抗した部分もあったようでございまして、結局それは見送りになりました。
 それで、議員連盟は敗者復活を行おうということで、2005年の法が成立した翌年に、2006年の4月11日に、文字・活字文化振興法シンポジウムを行いました。ここで、議員連盟としては文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開というものを考えました。これはお手元のレジュメのところに書いておきましたが、3項目あります。
 1は条文としては振興法の第7条、「地域における文字・活字文化の振興」、この中身は、公共図書館の充実です。2番目は、学校教育に関する施策、これは第8条です。ところが、そこに書いてありますように、読書指導の充実、読書の時間の確保による言葉力の教育支援、教員養成課程への「図書館科」または「読書科」などの導入による教員の資質の向上、学校図書館の図書標準の達成、学校図書館図書整備費の交付税措置の充実・予算化、小規模校(12学級未満)への司書教諭の配置、学校図書館に関する業務を担当する職員の配置の推進、司書教諭の担当授業の軽減・専任化などの推進、高等学校の図書館の充実、盲ろう養護学校の読書環境の整備、新聞を使った教育活動の充実、読み書き活動の基盤である国語教育の充実・より豊かな日本語の教育支援、そのような内容で、それから学校図書館支援センターによる学校間、公共図書館との連携・推進、IT化の推進による学校図書館・公共図書館と国際子ども図書館等のネットワーク化の推進、こういうことを具体的に実現したいという項目を掲げて、こういうことを実現するのだということで、議員連盟の人たちは方々に働きかけをいたします。
 それから3番目は出版活動への支援、文字・活字に関わる著作物の再販制度の見直しなどの内容です。実はこの時に、議員連盟の方々の微妙な話がありまして、官僚の屋上屋論の抵抗に遭いました。どういうことかと言いますと、文字・活字文化振興法を作る過程で、議員連盟の方々が法律を作るお役人の方々に説明した時に官僚の上の方々から屋上屋論を出されました。学校図書館法があるのに、何で屋上屋を重ねるような法律を作るのかと言われたというのです。実はそういった人たちを説得してやっと国会に上程するような法律要綱案を作り上げました。
 そこへ関係団体を呼びました。学校の方では学校図書館協議会が呼ばれて意見を述べて、そこで、ある言葉を受けまして、学校図書館の方は順次施策の実現を積極的に図ると言われました。施策の中で取り上げられるということはどういうことかと申しますと、例えば学校図書館の司書教諭の専任化、これは法律ができた翌年か翌々年に千人の学校司書の専任化の予算措置を行いました。これは残念ながら認められませんでした。


■地方交付税措置の充実
 それから地方交付税措置の充実が図られました。それから新聞を使った教育活動の充実、これは地方交付税の措置で実現しました。学校図書館に関する業務を担当する職員配置の推進、これも今実現しつつあります。地方交付税で措置をしました。学校図書館では、授業で使う図書を国際子ども図書館の設置要綱にしました。そういったことを順次実現するように働きかけをしてきたわけです。
 ところが残念ながら公共図書館の方はまったく考えられなかった。実はここだけの話ですが、その会議に出席された方のお話ですが、学校図書館の方はもろ手を挙げて賛成した。ところが公共図書館の方のかたは、なぜ図書館法があるのにこういう法律を作るのだと言ったと言うのです。つまり、官僚の方々が屋上屋論を言ったのを何とか説得して国会に提出するまでにこぎつけたのに、関係団体の方がお役人と同じことを言ったというのです。学校図書館と公立図書館のその後は命運が分れたのです。ですから何とか公共図書館の方も施策をできるようにしなければいけないのです。


■教育の情報化と生徒の情報リテラシーの育成
 その次に、「教育の情報化と生徒の情報リテラシーの育成」です。これは2009年のPISAの調査でデジタル読解調査が行われました。そこで、例えば、「普段の1週間のうち、国語・数学・理科において、コンピュータを使っている生徒の割合、つまりコンピュータを使った授業を受けている生徒の割合は、国語は日本は1.0%、OECD(17か国・地域)の平均は26.0%、数学は日本1.3%、OECD平均では15.8%、理科は、日本1.6%、OECD平均は24.6%、こういう結果が出ております。それから「マルチメディア作品の作成」では、「自分で上手に出来る」「誰かに手伝ってもらえば出来る」と回答した生徒の割合は、17か国中最下位であります。それから表計算を使ったグラフの作成は、17か国中12位でございます。これを見た文部科学省は大急ぎで、教育の情報化の実現のために、いくつかの教育の情報化ビジョンといったものを、もっと進めたいということであります。これは生徒の情報リテラシーの育成ということに深く関わっています。図書館とも関わっています。


■財政措置
 財政措置では、1993年(平成5年)に、学校図書館図書標準を設定しまして、学校図書館図書整備5か年計画を開始しました。最初は5か年で総額500億円でした。2012年からの第4次5か年計画で総額1千億。それから2012年の措置で学校図書館への新聞配置、これは15億円、総額75億円。その時に学校図書館担当職員(いわゆる学校司書)を配置するということで単年度150億円を計上しました。この150億円については、聞いたところによりますと、文部科学省はもっと少ない額を要求いたしました。地方交付税の担当である総務省では、そんな少ない数でいいんですかということを聞いていただいて、それで150億円にしていただけたということでございます。この数字は、年間週3時間、全ての学校に学校司書を配置してほしいという当時の総務省の大臣の気持もあったようでございます。


■新聞閲覧時間遅現状
 それからコメントとしてそこに書いておきました。新聞閲覧時間の推移というのがあります。出典はそこにありますように、東大の橋元先生の『ジャーナリズム』という所に載せた論文の中にありました。2012年に、橋元さんと総務省が共同調査を行いました。これ以外にはNHKの生活時間調査もありますが、橋元さんと総務省の調査によりますと、これはちょっと信じられない数字なのですが、これについて橋元さんは限りなくゼロに近いという言い方をしますが、新聞を読む時間について、2012年には10代は1.7分、1.7分ということは例えばこの会場の中でどなたが30分、40分読めば、他の人はほとんど読んでないという数値に近いわけです。40代は2.4分、新聞を読むことはちゃんと読むということを学校教育の中でやるべきだと、学校だけでなく、大学生もそうです。1990年代を通してNHKの生活時間調査によりますと、本を読むということは時間数が大幅にダウンする。ただし、2000年を境にしてNHKはこういう調査をやめました。どうしてかというと、若い人の意識として、本を読むことは、活字を読むことが崩れてきまして、つまり携帯小説を読むことも本を読むことの中に入る。そうかなと思いますが、雑誌を読むことも本を読むことに入る。本の形のもの、例えばマンガを読むことも読むことに入る。逆に言うと印刷した本は読まないが、マンガはしっかり読んでいるということです。


■学校司書という用語
 学校司書という用語、これが公式文書の中でどう扱われているかということですが、一つこれからの学校図書館の在り方がありますが、子どもの読書サポーター会議の平成21年の報告書の中にカッコ付きで学校司書と書いてあります。「学校司書は非常に需要な役割を果たすものです。これから学校司書を配置していく。専門性を求められる大きな役割を持っていることは少なくない」という表現でまとめています。
 それから「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の2013年の中には、今度は項目として「学校図書館担当職員いわゆる学校司書の配置」という形で出されました。しかもカッコが外れました。ということは、今度の会議の中でもいろいろ議論がありましたが、文部科学省としては、公的な資格としての学校司書を認めているのではないかということが出ましたが、いずれにせよこういう形進んできて、では学校司書の職務内容は何ですか、学校司書はどういう仕事をする人たちなのですか、ということを明確にしなければならないという段階に入ったのです。そこで協力者会議が開かれて報告書がまとめられて3月の末に出されました。その報告書の内容は、目次を見ますと、1学校図書館の位置付けと機能、2学校図書館の利活用の意義、3学校図書館担当職員に求められる役割と職務、等々という内容でございます。


■学校教育全般を支える学校図書館
 さらにこれは報告書に付けた文書で新しい提案を行いました。それは、学校図書館担当職員に求められる役割と職務ということで、学校図書館の利活用の意義のところですでに書いてあったわけですが、読書センター、学習センター、情報センター、この三つを置くことにいたしました。これは、我々学識の3名が、文部科学省の事務局と3回話し合いをいたしまして、やっぱりこれで行こうということにいたしました。詳しい話はあとでいたします。それからあともう一つ非常に重要なところですが、「これらの役割を踏まえ、各教科等の指導に関する支援など教育指導等の支援に関する職務を担うことが求められている。」つまり学校司書というのは、単に公共図書館における司書のようなことだけではなくて、学校図書館という専門の図書館の専門職である。そこでは教育活動には関わらない、こういうことでございます。各教科と指導には関わらない、と言うことでございまして、その内容については後で詳しくお話します。
 そうしたことに基づいて学校図書館担当職員に求められる役割職務の向上方策ということであります。
 学校においては、校長を中心とした、校長先生のリーダーシップに期待したい、教員の研修は教育委員会の責任に期待したい、それとともに、学校司書を置くか、学校図書館の運営とか学校の教育活動で様々な協力をしていかなければならない、こういう内容であります。
 次は、三つのセンターがそれぞれ具体的にどんな活動をして、そういうことを通して確かな学力をつけるのかというイメージ図を入れておきました。学校図書館担当職員の職務には、一つは間接的支援に関する職務、これは図書の資料の収集とか整理とか配架とか施設設備の管理とか学校図書館の運営に関わることとか、日常の奉仕に関わったり、司書教諭の指示に従いながらということになります。それから二つめは直接的支援に関する職務では、子どもたちから相談を受けて、調べ方とかいろいろなこと、情報サービスもあります。それから読書活動の充実に関する職務、このあたりまでは普通のことですが、議論になったのは3番の教育指導への支援に関する職務です。教科等の指導に関する支援、特別活動の指導に関する支援、情報活用能力の育成に関する支援、これについてはもう少し詳しく見ていきたいと思います。協力者会議がこの報告書をまとめたのですが、この報告書をまとめるに当たっていろいろ議論をいたしました。
 一つはこの三つのセンターについてです。これがどうなのかということです。私どもとしては、現状にとどまるのではなくて、これから新しい社会が来る、5年10年20年先を見通したような視点が必要である。そうした場合、これからは学習センターと情報センターはそれぞれ独立したものとして考える必要があるだろう。特に情報センターです。今後情報リテラシーの向上という点では、もっと内容的に豊かなものであるということです。
 その時に参考にさせていただいたのが、2010年にアメリカのスクールライブラリアン協会の学校図書館メディアプログラムでした。これを参考にさせていただいて、例えば一般的な技術については、デジタルリテラシー、ビジュアルリテラシー、テキストリテラシー。テクノロジーリテラシー、こういう4つのリテラシーが考えられていまして、これからの子どもたちには必要なことだと言われています。
 デジタルリテラシーとは、デジタル技術を使いながら情報を見つけ判断する力、ビジュアルリテラシーは、イメージの見地から自ら学び表現する能力を高め、イメージを利用し理解するための能力、テキストリテラシーは文学など専門的文章を読み、書き、分析し且つ評価するための能力、最後のテクノロジーリテラシーは、21世紀の○○や生涯にわたる知識を獲得したり、全ての情報に関して管理し、結びつけ、評価し、創り出したり答えたり、問題を解決したりするために、責任を持って適切にテクノロジーを利用する能力といわれています。
 これらは具体的にどうなるのだろうと思います。技術的に分かりません。デジタルやビジュアルリテラシーなら分かりますが。もう一つコミュニケーションリテラシーもあります。


■学校司書の専門性
 それから「専門性」の内容です。これらの議論の中では、教育指導への支援、イメージ図の一番上ですが、これを入れるかどうか議論しました。やはり、今までの現場の考え方ですと、これは司書教諭の仕事です。そこになぜ学校司書が必要なのかというニュアンスの話もありました。そこで私どもとしては、一つは読書センター、これは従来から言われていることです。学習センターという考え方ですが、これは、調べ学習などで積極的に学校図書館を使うことになるだろうということで、学校図書館担当職員にそういったことに関わる、最後のところにありますが、「ティームティーチングの一員として、あくまで教員の主導で行う学校図書館を活用した授業において、児童生徒に指導的に関わりながら学習を支援することも求められる」教諭や司書教諭の指揮の下で関わる。それからもう一つは、児童生徒が自ら学ぶということで、学びの場としても、学習センターを活用してなおかつ図書館に人がいる、相談ができる、いつでも相談してアドバイスを受けることができるというような場にしたいということです。
 それから情報センターというのは、情報リテラシーの能力の指導のためにいろいろなことが考えられて、学校司書の方が積極的に関わりながらいろいろな機材をそろえたり、授業の中でも先生方にもアドバイスをしたりする。そういった内容が示されています。
 具体的に、最後の、教育目標を達成するための「教育指導への支援」に関する職務として、一つは教科等の指導に関する支援、二つめは、特別活動の指導に関する支援、三つ目は情報活用能力の育成に関する支援、先生方が行う指導について、学校図書館担当職員としていろいろと資料を提供したり、授業に参加して、生徒の指導に参加したりいろいろします。


■学校司書の役割
 先ずは授業のねらいに沿った図書館資料の紹介・準備・提供など3点ありますが、学校図書館を活用した授業を行う司書教諭や教員との打ち合わせ、こういったこともある。それから学校図書館を活用した授業への参加、辞書の引き方、目次・索引の利用法、日本十進分類法(NDC)等の図書館資料の活用の仕方についての説明などをします。
 日本十進分類法のことを考えると胸が痛みます。実は大学生に、高校で日本十進分類法について先生から説明を受けて聞いたことがあるかと聞いたら、図書館の司書課程を受けている学生には毎年聞くのですが、大体2割から3割です。一般学生となると、30人中1人でした。さっそく図書館に連れて行っていろいろ教えました。それから私は附属中高の教育課程の責任者ですが、カリキュラムが改訂になりまして、調べ学習など、いわゆる総合演習というのが出てきます。教員になりたいという学生が80人ほどいますが、そこで聞いてみると2割ぐらい。あとの8割は図書館に連れて行ってこれがそうだよと教えることになります。
 今の司書教諭の方々からも異論がありました。司書教諭は仕事を奪われるのではないかと心配している人もいるようですが、そうではなくて、実は文部科学省としては、私は参加しなかったが、そういったことについてちゃんと話し合いをして、合意してやっています。ですから、特に司書教諭の先生方は、もっと教育内容に深く関わる活動にシフトしていただきたいというのが私どもの気持でございます。学校司書は、専門の学校図書館の職務を担う人たちだから、やはり公共図書館の司書とは違います。養成課程でもきちんとした教育を行うということが重要ですので申し上げました。


■学校司書配置の効果
 学校図書館担当職員を置くことの効果についてですが、学校司書あるいは学校図書館担当職員がいるということで、はたして教育的効果があるのかどうか。やはり、効果があるということであれば、財政の方も積極的に予算をつけましょうと言うことになります。この辺が今後の課題でございます。報告書の最後のところに統計がございます。学校図書館担当職員の事例と、平成25年度全国学力学習状況調査の結果から見た学校図書館担当職員の配置の効果が3点に亘って、それぞれ小中について述べています。一つは学校図書館担当職員を置いている学校は、学校図書館を活用した授業を行っている頻度が高いこと。二つめは学校図書館担当職員を置いている学校は、児童が地域の図書館に行く頻度が高いこと。三つめは学校図書館担当職員を置いている学校は児童の読書量が多いこと、この三つなのです。
 それから学校司書という呼称について、文部科学省の方で、間に合わないので今回は使いません。大きな流れとしては、学校司書の方向に向かっています。それから、子どもの読書・学習活動を支える学校図書館の協力体制、これは、報告書の中でも書いてある通りですが、2点に亘って書きました。
一つは学校図書館に関わる関係者として、もう一つは学校図書館に関わる組織についてであります。組織としては学校の中の組織と学校の外の教育委員会といった組織との関わりについて書いてあります。
 学校図書館に関わる関係者については、校長、教員、教育委員会などから来た方々の意見は、やはり法的にきちんと明示する必要があると言っています。校長は校務を司る者として学校教育法第37条第4項に書いてあります。各学校の教育課程の編成に責任を有する立場から、学校図書館が当該の学校の教育課程の展開に寄与するよう校内の諸条件の整備を図る必要があるとしています。
 教員については児童生徒の教育を司る者として(学校教育法第37条第11項)、児童生徒の読書活動や学習活動等において学校図書館を積極的に活用して教育活動を充実させること等に努める必要があるとして、そういう仕事をしていくことにあります。司書教諭についてもそういうことが書いてあります。学校図書館担当職員の職務について書いてあるわけです。司書教諭と学校図書館担当職員との連携協力が非常に重要ということで字数を多くして書いてございます。教育関係についてはいろいろな実情を踏まえながら、考えていこうとしている経緯がございます。
それから、校内の組織についてはいろいろな呼称があったりいろいろなケースがあります。また、報告書に関連して資料ということで、いろいろ各学校でこういうことを考える時に、学校経営方針を受けた学校図書館の利活用を重点にしています。それから教育委員会では、図書館経営方針の例を示しています。特に学校図書館担当職員の研修の例として、東京都荒川区の事例が非常によろしいということで、荒川区の学校図書館支援センターのマニュアルから、その学校の校長先生をお招きしてお聞きしました。
 もう一つは横浜市、これはどうしてかというと、去年から学校図書館担当事務職員の採用を5年間にわたって行うことを進めておられます。横浜市の場合はどうして学校司書または司書の資格を持っている人採用しなかったのかという質問が出されています。担当の方からの回答としては、横浜市はボランティア活動が非常に盛んな所なので、学校図書館もボランティアの方々も多く活動していらっしゃる。今回も学校図書館担当職員を採用するに当たって、ボランティアさんの方々にも応募していただいていた。ところがその方々は必ずしも司書や司書教諭の資格を持っているとは限らなかったので、そういう現実を踏まえると司書の資格は問えなかったのだということでした。今後どうなるかはわかりませんが。


■専門職としての哲学
 今後の方向はどうかということでございますが、少なくとも、最初に申し上げましたように仮に6月に、学校図書館法の改正が行われたとしたら、改正を行って、具体的にどういう条例を作るかという方向に議員さんたちは進むと思われます。その間に、学校司書の講習とかが行われ、もう一つ非常に重要なのは、技術的なことですが、現在関わっておられる司書の資格を持っていないわけですから、講習を受けて資格を取ることになります。実務経験も評価することになっています。
 それから、専門職としての要件があります。資格として設定されるのであれば、そのための試験も考えられています。今回学校図書館法が改正されれば、技術的な段階をどうするのかというレベルの話と、ものの考え方として、学校司書という公的な資格を持った専門職集団ができるとすると、やはり「学校司書とは何ぞや」ということについて説明するためのいろいろな作業が必要で、そこには学校司書という専門職としての世界観であるとか専門職としての倫理観、哲学的なことを考える必要があります。
 図書館司書の場合は、あまり考える人はいないのですが、例えば岡村啓二先生という大学の先生の考え方ですが、やはり司書の世界観、それぞれの専門職を持っている人、弁護士さんも教員の方もお医者様もそれぞれの分野の世界観を持っています。司書の方も世界観を持っています。そしてそれは切実な世界観であります。司書の人は学校図書館が充実するのであれば、いろいろな法律との関係も考えておかなければならないそれぞれの専門職としての哲学、生き方示していくことが必要となってくるということでございます。


■おわりに
 学校図書館が充実するのであれば、学校図書館法だけでなく、社会的に法律との関係も整備する必要がある。今回の議論の中でもそうですが、著作権法第31条です。学校図書館は当てはまらないと言われていますが、私は納得がいきません。今回も学校図書館とは何なのか、少なくとも参考にさせていただいたアメリカのスクールライブラリアン協会の例を借りれば、学校図書館は知的な創造の場所であるとしています。子どもたちの、例えば私は、図書館を活用した調べ学習のコンクールの審査委員をやっていますが、あれで出されている作品はもう素晴らしいですね。学校図書館を活用して素晴らしいものが出来ている、素晴らしい作品を作っている。その中には本になっているものもあります。お一人覚えていますが、中西書店から出た本があります。
 これから学校図書館担当職員が配置されて司書教諭がいれば、まさに子どもたちにとって知的な創造の場である図書館が学校図書館にも当てはまると私は思います。その辺はこれからきちんと議論をして深めて、知的な新しい社会の到来の中での学校図書館の役割を考える必要があります。社会の著作権審議会の委員を説得して、もっと図書館の社会的な重要性、著作権法第31条というのは、知的な創造の促進のための法律ですから、そういった意味でもこれからの学校図書館の方でも内容を深めていくことが大切だと思うわけです。

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