平成25年度日本学校図書館学会 学校図書館フォーラム
平成25年度日本学校図書館学会 学校図書館フォーラム
会長挨拶 日本学校図書館学会会長 村 越 正 則
大変な大雪になりましたが、本当にようこそおいでいただきました。今朝の8時半の時点で開催を決定いたしました。これからの学校教育の充実を図るために、学校図書館はどうあればよいかということで教師のシンポジウムだけでは課題の解決は難しいということで、こういう形で計画をいたしました。後半には皆様のご意見も伺いながら進めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
基調講演「学校図書館の充実に向けた文部科学省の取組」
文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 内藤敏也様
シンポジウム
シンポジスト
左から2人目 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 内藤敏也 氏
3人目 全国連合小学校長会会長・新宿区立早稲田小学校長 堀竹 充 氏
4人目 横浜創英大学・本会名誉会長 高岡浩二
5人目 昭和女子大学大学院・本会副会長 小川哲男
いちばん左 コーディネータ 白梅学園大学・本会会長 村越正則
堀竹 充氏
学校図書館の役割
・言語への関心を育てる
・言語表現への関心、言語活動への関心を育てる
・知識を習得への関心を育てる
・豊かな知識に触れる喜びを味わわせる
・言語情報の価値に気付かせる
・「生きる力」の基礎をはぐくむ
・情報センターとしての価値に気付かせる
学校図書館の現実の課題
・教師の明確な意図をもった指導が不足
・調べる活動での情報端末の活用に偏った指導
・読書指導の体系的なカリキュラムが不十分
・言語力の育成と十分結びつかない整備計画
・図書館活用について、専門性の高い教員の不足
・方法論に偏った教員の研修
高岡浩二氏
学校の教育課程の展開に寄与する学校図書館の在り方と条件整備
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学校図書館の現状と課題
学習指導の質を高める観点から見直し、学校図書館の活用を教育課程編成方針の中に位置づけ、指導計画の中で具体化を図る必要がある。また、それが実現できるような学校経営方針の中に位置づけ、それを実施できる態勢を整備する必要がある。 -
戦後の教育課程の変遷と学校図書館の役割
学校図書館法が制定された後、教育課程行政は昭和33年の改訂以後系統学習重視に転換したことによって教科書中心の授業が行われるようになり、学校図書館を活用した学習が行われなくなり、学校図書館活用の意識も低くなってしまった。 -
「生きる力」の育成と学校図書館の役割
生きる力とは、基礎基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ他人と共に協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などと定義されている。
こうした力を育成するためには、自ら課題を見つけそれを探究する学習活動が重視されることになる。学校図書館にこうした学習の展開を支える重要な役割を求められている。問題は自ら課題を見つける学習には、思考体系を作ることである。これは構成主義と呼ばれている。 -
教育課程の基準性と学校図書館の条件整備
国は、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために、教育課程の全国的な基準を学習指導要領として定めている。そのためには、国は学校に対して教育課程の実施に義務を課しているのでこれらの人的、物的 な条件整備を進めなければならない立場に立つことになるのではないかと考えられる。 -
これからの学校図書館の在り方と条件整備
学校図書館を学習指導に活用することが不可欠になると、その運営は様変わりすることになるのではないかと考えられる。理科の学習が理科室で行われるように、探究学習は学校図書館を活用した学習活動が求められる。各学校での学校図書館の整備が求められる。学会としては学校図書館の理想形の実現を目指して学校の取組を促進するための理論的な裏付けを明らかにし、学校や教職員に対して積極的に情報提供をする必要がある。
小川哲男氏
専門は理科教育。授業論と研究論の立場から申し上げたい。学校図書館はどの教科・領域でも使えることが大切。
本日は、学校図書館を使った授業論と研究論の立場から申し上げる。
- 学校図書館活用についての使命
- 使命に基づいてどういう研究実践があるのか
- これからどうしたらよいのか
この学会の創立者、熱海則夫先生は、「学校が変わる、授業が変わる、必然的に学校図書館も変わる」と言った。
具体的には、学校図書館学の構築、学校図書館学の実践に役立つ理論を作る、共同研究が大切、子どもの側に立つ研究者の育成とを育てると言われた。
また、初代会長の室伏武先生は、科学としての学校図書館学を作りたいと言っている。それは誰でも出来るようにするのだということである。
学習の展開に役立つ理論と実践を作ること、授業の改善
- 教育課程の展開に役立つ理論の構築、理論と実践をどうつなぐか
- 授業を変えなければ学校図書館の改善をしても意味がない。逆も成り立つ。
- 学校図書館学は空理空論であってはならない。
学習のねらいが達成されるための学校図書館の価値はどうなのかという視点が必要。
子どもが学習するのだから、子どもの側に立って、子どもが自ら学ぶ道筋を作っていくことが必要。構成主義の教育とは、子どもが自ら知識を構成することである。
内藤敏也氏
条件整備について取り組んでいること。地方交付税として、24年度から5年間で図書標準の費用として1000億円の予算を組んだ。また、新たに新聞の配備費用として、単年度15億円、5か年で150億円、さらに学校司書(学校図書館担当職員)の配置のための予算を毎年度約150億円の予算を考えている。ただ、地方交付税なので、各市町村で予算措置されないといけないので、このパンフレットを作った。各市町村で効果が上がればさらに考えて行きたい。そのための理解を期待している。
司書教諭の配置状況については学校図書館法の改正により、11学級以下を除き学校に配置することになったが、地方交付税を受けて配置率が上っている。しかし、配置は6割程度となっている。
要約・文責 日本学校図書館学会事務局